「地球を彫刻してみたい…。」
そんな思いで、この場所もきっと作られたんだろう。
しかし、この場所は、かつて、ゴミ処理場だった。
札幌市の発案で、公園や緑地の帯で街を包み込もうという”環状グリーンベルト構想”の一部としてこの公園も作られたという。
公園の中でも人々が集い、ゆったりとした時間を過ごすガラスのピラミッド「HIDAMARI」の中では、幾何学的で無機質なカタチの連鎖から成り立つ構造物のはずなのに、なぜか、優しく包み込まれるような感じがした。
また、イサム・ノグチを紹介するギャラリーフロアで、彼の生い立ちから、彫刻家ブランシークに師事していたこと、その後の活躍のパネルを読み、書籍を眺めた。
聞こえる水の滴る音に耳を傾けながら…、とても静謐な気持ちになってゆくのを感じた。
良い作品には、人の深部に触れる力がある…。
そして、最後に登ったモエレ山。
標高62m。
向かいのプレイマウンテンが見える。
まるで、神殿のよう…。
頂上からの眺め。
遠く石狩平野が見える。
この地球は、光と影とが共に寄り添い合うことで、ひとつの世界が形作られている。
イサム・ノグチの作品は、まさにその光と影との絶妙なバランスで関係しあう中、生まれてくる調和を重んじた美しさを意識していたのではないだろうか。
そして、近代化の波を受け、人間が自然から遠のく事を強く危惧し、そのことを意識した設計になっているのではないだろうかとモエレ山を登っていて、そう感じた。
この山を登って、ある一編の詩を思い出した。
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
(「道 程」高村 光太郎)
新しい道は、自分で切り開くしかないんだ。