気がつけば、1週間、家でも外でもカレーを食べ続けていた。
イチローのようにはいかないまでも、毎日、カレーでもオッケーな時がある。
久々の秋保。
知り合いの展示を観に、
初めて行った佐々木美術館。
美術館開館6周年を記念する展覧会だった。
実力派の芸術家たちの充実した展覧会内容に
在廊していた作家さんとも話し込み、なかなか先へ進まなかった…。
開放的で、自然と美術館の空間とがマッチしていて、とても居心地がよかった。
そして、翌日、バケツをひっくり返したような雨の降る日の再搬入。
深夜バスで移動し、早朝、朝のラッシュを避けるために、早々に移動し、喫茶店で時間を潰した。
ホテルに辿り着き、大き目の額入りの作品を飾り、梅雨時期にもマッチしそうな作品も展示した。
ティーラウンジが紫とグリーンに彩られた癒しの空間に変わったように思う。
搬入済んで、この雨の中どこへ行こうかと思案。
電車を乗り継いで、大きな箱をカートに積んだまま、雨から逃げ込んだ先は、洞穴のような喫茶店。ずっと前から行きたかった場所。
名物のカレーとコーヒーを頂く。
コーヒーが美味しすぎて、もう一杯。
お酒やちょっとしたおつまみもなかなか凝っていていたが、なめした皮に記された独特のメニューを眺めながらも、グッとこらえる。
翌日、SNSで知った映画を観に行く。
以前、映画「華 いのち 中川 幸夫」を観た際にお会いした谷光 章 監督が撮った新作「99歳 母と暮らせば」。
久々に監督にもお会いでき挨拶を交わす。
爽やかで清々しい笑顔が印象的な方だ。
高齢の母親と老年期に入った息子の日々の暮らしが描かれている。
人が生まれ、その一生を終えるまでの過程とは、やはり生々しく、予想もできない現象がめくるめく起こる。
身体の衰え、認知力の低下、昼夜逆転の生活、幻視、幻聴…。
歳を経て、認知の感覚が現実と違う世界を行き来し、もっともっと境界線のない無意識の世界に戻ろうしているのかと…感じた。
そんな母親の姿をつぶさに記録し続けるドキュメント。
何も包み隠さずに、日々、コロコロと変化する症状と向き合う眼差しがそこにはあった。
機嫌のいい時は、お得意のハーモニカを吹き、ご機嫌斜めの日には、駄々をこねまくる。
時折、日々の花々が映し出される合間のインターバルにほっこりしながら、お母さんの根っからの明るさと好奇心旺盛さも手伝ってか、息子と共に関西弁のノリ突っ込みの掛け合いが、いたるところに散りばめられていて、観ている方も笑いながら肩の力が抜けてゆくのを感じた。
深刻になりがちな題材でありながら、穏やかではない日常のはずなのに、谷光監督のお人柄なのか、穏やかな雰囲気のある老年期を迎えた親子の愛情たっぷりの物語として、何度も観たくなるような作品だった。間接的にその愛情にふれているみたいだった。
介護は、誰しもが通る道のようなもの。
親であっても、自分自身のことであっても、向き合うしかないもとだとしみじみ思う…。
加齢は、万人の課題なのだと。
《予告編》
https://www.youtube.com/watch?v=UKHgoOALxrw&feature=youtu.be
その日の帰りの高速バス、福島・安達太良パーキングエリアでもカレーパンを買って、パクついた。
そして、今晩も明日の晩のカレーを煮込んでいる。大豆と人参と玉ねぎだけのカレー。
明日の自分の活力の為に…。
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髙橋 典子 個展『Breath of nature』
令和元年7月5日(金)迄、開催
THE AGNES
HOTEL AND APARTMENTS TOKYO
ティーラウンジ
東京都新宿区神楽坂2-20-1
営業時間
10:00〜17:30
(ラストオーダー17:00迄)