搬入前日、いつも通っている神社で手を合わせる。いつもより念入りに…。
その帰り際、小さなオレンジ色の蝶々が私の周りを螺旋を描きながら旋回していた。
なにかの使者?それともお母さんの化身?と思いながら、しばし眺めていた。
宮城県美術館・県民ギャラリーで行われていた展覧会『ERAGIRAKU〜Cosmic Harmony〜』が幕を閉じました。
創造性の宇宙にある求心力である太陽の周りを取り囲む、個々の感性が点在する惑星のように回転しなが、調和する宇宙のハーモニーを奏でていた。
5月の舞台『歓喜咲楽』に関わり、鑑賞した一つの経験が、現象となって、宇宙に飛び散ったような感覚を覚えました。
「新しい世開き」
阿部 貴彦さんの撮影した舞台写真を軸として展開した今回の展覧会。
伊奘諾と伊邪那美の物語をもとに、深い陰影の中、濃密な空間を作り出していたパフォーマーたちによる演舞が神秘的な現象として映し出されていました。
Photo by.Takahiko Abe
やっと生まれて来てくれたね…
と出来上がった作品に声をかけました。
構図的には、あまり変哲のない絵かもしれないのですが、今の私の中から生まれ出た光として目の前に浮かび上がってきた色彩の光は、私にとってかけがえのないものでした。
自分の中でやっと呼吸ができたと思える作品だったからです。
無数の点の中から、浮かび上がってきた像の不思議さ…。
そのどれもが生命という源からやって来てくれた印象を持ちました。
紙に描いていながらも紙の奥底からやってきてくれるような感覚がいつもあります。
特に今回は、そのことを深く感じることができました。
展覧会に来場された美術家の先輩たちもそこを感じ取ってくれたのか、
他の作家たちは、視覚を通して、頭の中のイメージで描いているが、あなたの絵は、キャンバスの奥から浮かび上がってくるように感じる。
とおっしゃって頂いたことがとても嬉しく感じました。
個人的にも絵を描くことが困難に感じられたこともあり、すべて新作だけで、展示したかったのですが、時間的に叶えられなかったのが悔やまれてなりません…。
それでも新しい光の子供たちのような2作品に巡り会えたことが私にとっては、深い歓びでもありました。
また、尊敬する作家陣や長年の友のような作家仲間に囲まれて、なにか共通性のある壮大な流れを一つの空間の中に共に生み出せた経験は、なにものにも変えがたい貴重な体験となりました。
この経験を大切にしながら、次へのステップへと参加した作家たち、それぞれが心の内に大切な何かを感じでいたのではないかと思います。
歓喜咲楽〜ERAGIRAKU〜
その言葉通り、
歓びながら、時には苦しみながらも…、
各々の花が咲き誇っていたのではないでしょうか…。
お忙しい中、来場された皆様、ありがとうございました!
そして、歓喜咲楽に声を掛けて頂いた小山 朱鷺子さんをはじめ関わったスタッフの皆様に心からの感謝を…‼︎
搬出の日、片付いてなにもなくなったギャラリーに大きな大きなオレンジ色の羽を持つ蝶々?蛾?が天井を飛んでいるのを見かけた…。
あれは、芸術の神さまの化身だったのかなぁ…