5月半ばから、強烈な出会いに遭遇し、私の中のいろんなところにアクセスしてきた出来事がありました。
大岡 弘晃さんの個展
『鏡に光芒』
案内状を手にした時から、必ず行こうと思った展覧会。
色彩が退色しながも、その退色する過程がまるで、生き物のような表情を見せる。
退色を嫌う昨今。
一瞬の内に永遠の輝きを見るような…、
色のゆらぎを感じるような…、
私にはとても新鮮に感じられました。
自然光に照らされた作品たちを愛でる時間が至福に満ちあふれ、久々に純粋な絵画が持つチカラに触れたようでした。
出会えてよかったと心から思える人物と作品でした。
そして、5月は、音楽に縁がある月でもありました。
ワタリウム美術館で行われていた坂本 龍一『async』設置音楽展。
私は、コアな教授ファンでは、ありませんが、彼の音楽は、好きで昔から聴いています。
最新作『async』をテーマに、音と映像で観るものの五感に働きかける展示。
私は、このアルバムを聴かずにこの展覧会へ行きました。
5.1サラウンドによる新作アルバム全曲を体感するコーナーでは、音が光の矢となって刺さってくるように感じたり、降り注ぐように思えたり、崇高な光が差し込んでくるようでもあり、様々なイメージが浮かんできました。
特に一曲目の「andate」は、大好きな映画監督タルコフスキーの作品や19世紀の指揮者フルトベングラーの息づかいを彷彿とさせる楽曲。絶望の中にありながらもそこに生きるための光を希求する深い祈りを感じずにはいられませんでした。
ずっと瞳を閉じて聴いていると、彼がたくさん伝えたいことが音の微粒子となって、身体の細胞にまで、働きかけてくれているように思えました。
そして、アルメニアのピアニスト
ティグラン・ハマシアンのコンサートへ。
荒涼としたアルメニアの広大な大地を駆け巡った記憶が蘇ってくるようでした。
鍵盤の音色の糸によって紡ぎだされる、まるで、様々な紋様が描かれたタペストリーのように歴史や風土性を織り交ぜながらも、”今”という時間の中、生きる若者の感性が光のプリズムのように飛び散るような輝きを見せてくれました。
彼独自のボイスパーカッションから叩き出される圧倒的なリズム感、うねりながらアルメニア特有の抑揚ある旋律を奏でるピアノ、そして、彼の内にある音楽体験が混ざり合い、引き込まれ、自然と身体が、揺れはじめていた。
アンコールは、3度もあり…、彼の魅力に完全にノックアウトされました。
屋久島の森の中でもコンサートがあったようで…、本当に行きたかった…!
きっと森の精霊たちも耳を傾けていたに違いないでしょう。
いろんな出会いに五感をフル充電させてもらった感じです。
出会いに感謝したいです。
さて、今月は、作品展があります。
髙橋 典子作品展
『My Works2016〜2017』が開催されます。
新しい試みの作品も展示する予定です。
墨と胡粉を使いながら、新しい光を紡ぎ出せたらいいなと思っています。
どうぞご高覧ください。