YouTubeであるドラマを観ている。
未解決事件である三億円事件をモチーフに主人公をジュリーこと沢田 研二が熱演じている。
闇の世界で生きる戦争孤児だった青年。その青年が、あの事件の犯人⁈
その美貌と寂しげな風貌に引き寄せられ、次第に、翻弄される人々…。
やさしい笑顔の裏には、非情なほどの冷たさが潜む。
脇を固める俳優陣たちも個性が強い。
映画「愛のコリーダ」が鮮明に残る藤 達也が、ねちっこくジュリーを溺愛する。
ジャン・ギャバンのようないぶし銀の渋さが光る若山 富三郎が、型破りの刑事になり、必要以上にジュリーを追う。
そして、若かりし日、白いナース姿がまぶしい仙台在住 篠 ひろ子。
長髪にジーンズ、素肌にシャツを羽織りサスペンダーにパナマ帽。いつもホープを口くわえたまま、残された時間めがけ、ダーツの的を狙う。
その演出は、あの久世光彦。
原作は、阿久 悠。
音楽は、大野 克夫。
昭和を飾るクリエイターたちが結集した作品でもある。
ジュリー演じる”可門 良”に、さまざまなことを語らせる。
それは、戦後の日本の置き忘れた何かなのだろうか…。
60分ドラマなのだが、2時間ドラマを観るような気持ちになるくらい、濃い!
今って、こんなドラマって作れないんじゃないかと思うほど、描写が激しい…。
煙草の紫の煙をくゆらす会話、
もつれ合う男女、
お互いの腹をさぐるように殴りあう不器用な男ども…。
テレビドラマでありながら、映画の感覚が、まだ色濃く残っている頃の人達が作ったスケール感なのだろうか。
「なに昼間っから、色っぽい目しやがって」とチンピラに絡まれる場面がある。
本当にうっとりするほどの色っぽさ。
まさに麗人の如く。
幼い頃から、髪の長い男の人は好きだったけど、ジュリーは、なまめかしく艶っぽい、ユニセックスな風貌が強すぎて、好みではなかった。
が、なぜか今、私の中でジュリーがブレイクしてしまった…。
そして、だんぜん歌声がいい。
ジュリーの歌声を聴いているだけでイヤなこともどこかに消え去り、うっとりとするような空気に彩られる時間に包み込まれてしまう。
歌も華々しいものもたくさんあるが、憂いをおびたしっとりした楽曲もジュリーには、よく似合う。
このドラマでも「時の過ぎゆくまま」が、いつも流れていた。
自分という素材をまな板の鯉のようにいろんなプロデューサーにさばかれても
それを柔軟にやりこなし、次々と変化してゆく、型破りなエンターテイメント。
まるでデビッド・ボウイみたい。
本当のスターがいた時代。
今のジュリーに対してはいろいろと意見があるみたいだけれど、今のジュリーも好きなので、一度、会いたい人の1人だなぁ…。
ジュリー〜〜〜♡