『私のフランソワーズ』
ユーミンの荒井 由実時代の名曲。
フランスを代表する歌手・フランソワーズ・アルディのことを唄った曲。
まっすぐに突き抜けるように唄うサビのフレーズに、若き日のユーミンのフランソワーズに対する憧れと熱い想いを切なく歌い上げていた。
何度かフランスへの憧れというものをブログの中で綴ってきた。
"フランスへの原体験は、小学生の頃に観た沢田 研二の出たフランス映画"だったり、雑誌オリーブのフランス特集だったり、フランス映画だったり、芸術だったり…と気の向くままに書いてきたように思う。
雑誌『オリーブ』の中で、この写真を見た、ちょっとエキセントリックで、モダンでコケティッシュな印象が残り、彼女の存在がとても気になったのを今でも覚えている。
今のように知りたい情報が得られるものは限られていたので、偶然を待つしかなかった…。
ある日、ラジオ番組から、彼女の歌声が流れてきた。
ラジオ好きだった中学生の私が、毎週、楽しみにしていたラジオ番組があった。
当時、ガールズバンドの草分けだったZELDAのベーシスト・小嶋さちほさんが担当していたNHK-FMの夕方4時から6時までの番組。
さちほさんのセンスで選ぶマニアックな音のセレクトに深く共鳴する自分がいて、彼女のラジオ番組を通して、音楽へ本格的に目覚め、さまざまな音楽を知るきっかけを与えてもらっていたように思う。
パティ・スミス、ジェーン・バーキン、マリアンヌンヌ・フェイスフル、そして、フランソワーズ・アルディ。
ラジオを録音し、オリジナルのカセットテープを作り、繰り返し聴いていた。
今もみんな大好きな女性たち。
特にフランソワーズ・アルディ、
私が思う"大人の女"の象徴だった。
お洒落で、美しく、
凛としていて、自立していて、芯のある人。
中古レコードのセールで見つけたアルバムは、今も大切な一枚だ。
その内容はというと、とにかく暗い…。
陰影が深くて、曲調も限りなくマイナー調。アンニュイで、憂鬱な感じ…。このどうしようもない陰鬱さが、湿度を含んだあの薄汚れた白い壁が連なるパリの街角の印象を決定づけたと言ってもいい…。
当時、愛読してた小説家・フランソワーズ・サガンの恋愛小説のように不毛な愛を歌っていた。
そんな恋愛など知らなかった思春期の私の心に染み付いた痕跡をいまだに残すフランソワーズの声…。
それは、フランスの心地よいトラウマみたいだ。
現在は70代になったフランソワーズ。
髪の色が変化しても洗練された素敵な女性として、現役で活躍している。
変わらない存在。
やっぱりいい年の取り方をしているのだろう。
私のフランソワーズ。
今も、いつまでも、
永遠に…。