My Horizon

絵を描く日々や私の日常をつれづれなるままに、言葉と写真で紡ぎます。

Zorba The Buddha〜真夏のARTの祝宴と即興の日々〜

長い長い8月だった。
容赦なく、暑く、暑く。
そして、熱い、熱い日々だった。



今年、久々の新作を交えたグループ展『Zorba The Buddha 〜この森は、あわいIN LOVE無限大〜』に参加。
2021年5月に天国に旅立った歌人・舞踏家、そして現代アートに深い関わりを持っていた小山朱鷺子さん。
生前、朱鷺子さんがつないでくれたご縁の6人のメンバーたちとの展覧会だった。

今回の展覧会のタイトル"Zorba The Buddha"。
それは和尚タロットカードの中にあった一枚のカードの名前だった。

ゾルバ(あくなき欲望を探求する者)/ ブッダ(聖なる悟りを探求する者)。この相対する側面をあわせ持つ存在としての人間。その二元性のカオスさえも超越して、統合した”人間としてのゾルバザブッダ”というイメージを設定してみた。




タイトルが決まって、7月に入ってから始めた久々の制作。

何ができるかなぁと正直、不安もあったけれど、いざ、手を動かし始めれば、物づくりのたのしさが身体の奥からムクムクと起き上がってくるのを感じた。ほんと、好きね、あなたと自分にツッコミを入れたくなるほど、久々の感覚に笑った。



旧作を出すことも予定に入れていたので、少し気が楽でもあった。
自分の中のゾルバザブッダって、どんなんだろう?!と思いながらも、自然に任せて手を動かした。

長いこと製作していなかったので、まるでリハビリみたいな気持ちもあった。久々の制作だもん、無理はしない!と心に決めた。




以前、沖縄に行った時に偶然、行った御嶽の前に映り込んできたオーブという光の現象からヒントを得て、妖精のような人型の”よりしろ”を作ることを思いついた。

作品作りというより、実験に近いという感じてもあった。稚拙でもいいから続けていく先に見えてくるものがあればいいと・・・。




8月に入ってからもすごい酷暑で汗だくの毎日。アトリエの冷房は窓だけの状態で、首にタオルを巻きながらの制作。相変わらず熱い番茶をガブ飲みし、ボ〜〜ッとしながらも集中していた。

『宇宙と私』という2004年の初個展で作った舞台装置みたいな作品と黒く塗った100号のキャンバスを組み合わせた作品だけを展示しようと思いながらも、何が足りない・・・と思いつつ、それがなんなのかわからなかった…。

しかし、搬入日も迫ってきた中、ふっと浮かんできたのがアンクという古代十字の形だった。



一昨年、ドキュメント映画『ピラミッド・5000年の嘘』という作品を観た。観ていたその日が偶然にも秋分だったこともあり、映画の内容ともリンクして、鳥肌がたった。それからというもの妙にエジプトが気になっていた。そんな中、身近にエジプトに行った人の話を聞く機会にも恵まれた。とても不思議な話をたくさん聞いた。

さらに今年、3月の春分の日にZOOMのワークショップに参加した時、エジプトからの生中継で6時間ほどの神秘的スピリチュアル・ワークを受けた。エジプトの磁場が強過ぎたのか?途中で眠くてたまらなくなり、横になって即、寝落ち・・・。気がついたらワークショップは、終わりの頃だった…。しかし、これも立派な浄化作用なのだ!と開き直り、アーカイブでワークをやり直すことに。



私は、初個展以来、長い間、人型としての十字というものを作ってきた。
魂を地上におろす錨(アンカー)としての人型を十字として仮定してきた。
3月に受けたエジプトからのワークショップで何度か見かけたアンクという古代十字がなんとなく頭から離れなくなっていた。

その意味を調べてみると、所説あるが、"死と生をつなぐ鍵"という意味があるということで、自分が感じてることにも近いと思った。そして、女性性のシンボルでもある。

作りたいけど、シンメトリーって難しそうと思いながらも、もうそれしかない!という気持ちも強まってきた。

さて、材料は何で作ろうか・・・??

家にあるもの限定で考えて、なんとかかんとかこしらえましたとも!聖なるMYアンクを!これも立派な”よりしろ”になると設定して!



そして搬入日!
つなぎを着込んでの美術館入り。
久々にリアルで会うゾルバザブッダのメンバーたちと挨拶して、各々の場所で黙々と作業し始めた。

一階は、大量の竹と杉でむせ返るような野生の匂いがギャラリーに充満し、すでに森感が半端なかった。
自然のエネルギーを胸いっぱいに吸い込んで二階へ上がった。


連日、レイアウトを変えたり、細々した作業が続いた。



そして、日が落ちると連日、パフォーマンスの時間になった。

始めはライブ配信動画を撮る係として自分がいると思っていたのだが、撮影中、ある瞬間、なぜか無性に声を出したくてたまらなくなってしまった。喉元まで声が出かかっている。その衝動をグッと飲み込み・・・。カメラを持っているから集中しなきゃ!でも・・・!!そんな小さな問答があった後、一瞬、「クッ!」という声が漏れてしまった。けれど、あまりにも短い声だったので誰にも気づかれないと思っていたら、終了後、メンバーから声出てでしょ!とズバリ言われて、笑ってしまった。はい、出ましたとも!堪えきれないほど、何かに反応してしまいましたと!もうこれは生理的なものとしか言いようがないほどだった。


その後、声で参加してとお声がかかり、これもなにかのお導きと参加してみることに。


その日を境に私は声が出したくなったり、何か音を出したくなったら出そうということを自分に許可した。その場の雰囲気や流れで自然と湧いてきた感覚を止めないことが大切なのでないかと思ったのだ。

また、他の日には、今日は声を出したくないなぁと思いながらもちょっと無理してしまうと周りとズレズレになってしまうという体験もした。やっぱりそうなんだっ!
無理は禁物なんだって、確認させられたというか。

これはすべての日常のことに言えることだねって妙に納得したりして…。



連日連夜の即興に次ぐ即興。

ゾルバザブッダのメンバーで長年、舞台上でパフォーマンスをしてきた大串孝二さんや俳優のシブタニクミコさんを見ていると本当に静と動、緩急の付け方、声の出し方、リズムの取り方、間の取り方、立ち振る舞いに圧倒された。動きを導いたり誘導しながら相手の動きを引き出すような、気持ちを開かせるような流れを生み出す力。化学反応ってこういうことなんだって。それが見事だった。そしてそれがすべて即興だったのだから!この醍醐味といったら!!



あの世とこの世が近づく季節。
その二つの世界をつなぐ芸術的空間を作り出すことができたと感じた。




〜この森は、あわいIN LOVE無限大〜


この展覧会のサブタイトルは、ゾルバダブッダのメンバーが出したことばを組み合わせたものだった。


ギャラリーに自分たちの”森”を作ること。
あの世とこの世、そして現世を生きる人々をつなげている”あわい”という有機的な関係性としての空間。
自分自身に"IN LOVE”しているいう尊い感覚。
それが展示にもパフォーマンスにもにじみ出ていたんじゃないかと思う。


点在する6つの異なる惑星が形作った六芒星と古代十字で完結した展覧会。

信頼と愛とやさしさに包まれながら・・・。

まだ、こころでこだましているものがある。



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展覧会に来場されたみなさまに
こころからの感謝を込めて☆彡

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Zorba The Buddhaの展覧会にいらしてくださった美術評論家志賀信夫さんのYouTubeチャンネルにて、Zorba The Buddhaの8/12のパフォーマンスの模様がUPされています。

宜しかったら、どうぞご覧ください。


❶大串孝二+遠藤園子(クリスタルボウル)+シブタニクミコ+髙橋典子(Voice)
https://youtu.be/_jVPePTrdUg?si=e9T2-tKUA-0QIjPm

❷大串孝二+千葉郁子(舞踏家)
+髙橋典子(Voice)
https://youtu.be/nw0u97FJyls?si=gXEMSf9G1WPA-hHE

❸大串孝二ソロパフォーマンス
https://youtu.be/u-GKY3IDbA0?si=x912ZFSHtkEsaAA5

❹Zorba The Buddha展示&中本誠司現代美術館
https://youtu.be/AYwC75L6ldA?si=yOvnCqJ-eV-ab5B6