My Horizon

絵を描く日々や私の日常をつれづれなるままに、言葉と写真で紡ぎます。

水の音、こだます夜に

夜の道を歩いているとどこからともなく水の音が聞こえてきた。

川なんてないのに,

雨なんて降っていないのに、

この音はどこからするのだろうと耳をすました。

 

その音は、コンクリートの道から足の裏を伝わってきた。確かに感じる水の気配…。

 

音を辿るとマンホールの下から、水のざわめきが私を呼んでいた。

足の下から身体に駆け上がってくるような感覚。

 

単にそこには、生活の中、排水されたものが流れているだけなのだか、私にはその水の音が心地よいノイズとして聞こえてきた。

 

誰もいない外燈の下、目を閉じて耳を澄ました。

  

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 水の音を使ったとても斬新で実験的なライブに行ってきた。

 

去年の11月の舞台「阿吽山水」で聴いた音が忘れられなかったのだ…。

 

 

楽家の藤田 陽介さんのライブパフォーマンス。

 

歓楽街の入口にその小さなライブハウスはあった。

 

 

最高だった…。

 

どこにもない音がした。

 

とにかく気持ちが良くて、

気持ちが良すぎて、かなり目をつぶってその音だけに全神経を集中させていた。 

その音は聴覚から、そして、皮膚からも聴くような感覚があるように思えた。

 

水槽を使って、水のもつ音を採取して、響かせるような仕掛けがほどこされたセッティング。そして、藤田さんお手製のパイプオルガンの演奏とプログラミングされ加工された彼のホーミーの声。

 

透明な水槽の光の反射が天井に映り込み、光は震えながらたゆたい、発光しながらうごめいていた。

 

人体の中にある水の流れ、血管の流れ、あらゆる流れがどこか同調し、共鳴してゆくような感覚。

 

水がたぎって、身体の中、駆け巡って、渦を巻きながら上昇と下降を繰り返す。

それは生命のほとばしる音にも似て、深く音の中、浸水してゆく自分がいた。

 

生命のノイズ。

 

水の惑星の中、生きる、

水分をたっぷり含んだこの身体。

水と共に生きているのだと…。

 

水の音が、1番好きなのかもしれない…

と実感した夜。

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「NOISEEM」https://youtu.be/_OgY_5YQHEQ

#藤田陽介