My Horizon

絵を描く日々や私の日常をつれづれなるままに、言葉と写真で紡ぎます。

奄美大島・後編〜島 縁と情け〜

翌朝、南国の光が降りそそぐ中、奄美の黒うさぎツアーをした道を再度、バスに揺られる。

 

トンネルを何本も通り抜ける。

トンネルをくぐり抜けるたびに雰囲気の違うエリアがふっと現れる。

 南に向かうほどにオレンジがかったフィルター越しに風景を眺めている、そんな気がした。

 

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古二屋という街の港に辿り着いた。

奄美大島の最南端。

 

次に泊まる宿の女将さんに"今から船に乗ります"と伝えるとフェリーではなく、海上タクシーでおいでと言われる。

フェリー乗り場の海の駅からちょっと行った所に、オレンジ色のテントに大きく白い文字で海上タクシーの文字。

地元の2人のおじさんと話しながら、タクシーを待つ。島にはあまり店が無いので、皆、両手にいっぱいの買い物や荷物を持っての乗船。

 

十数人乗れば一杯になるような小さな海上タクシーに乗り込み、次の島へ渡る。

乗客は皆、下を向き、押し黙って、20分ほどの乗船。

 

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 辿り着いたここは、加計呂麻島

 

山田 洋次 監督の映画『男はつらいよ』の最終作となった『寅次郎 紅の花』という作品の撮影地ともなった場所も数カ所ある。

 寅さん、終焉の地。

 

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この島に興味を持ってから、この土地を知りたくて、この映画を2度ほど観ていた。

 

いくつかの集落が点在する細長い小さな島だ。

 

 

 

その日の宿は、女性たちが多い日で、わいわい盛り上がった。宿の常連さんと女将さんとのやりとりがなんとも実家に遊びに来ましたといった感じで面白かった。

 

自由に国内外を飛び回る話が続き、みんな旅好きな独身女子たち…。

 

 

意気投合した4人で、30分ほど歩いた先の神社まで行くことに。夕飯を美味しく食べるための腹減らしも兼ねたウォーキング。

雑談しながら、曲がりくねった道を歩く。

 

 

弁財天の紅白ののぼりがはためいていた厳島神社へ。

 

しかし、夕方ということもあり、

"墓参りと神社参りは、午前中!"という昔からあるおばあちゃんの忠告のような言葉を思い出し、鳥居の前で、挨拶をするに留まる。

 

この島は、昔、平家の落人が流れ着いた伝説があり、平家の関係者を祀る神社が多い。

 

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その近くに映画・寅さんの撮影に使われたガジュマルの木があった。その木にぶら下がっている縄にプラスティックの黒いウキが付いた遊具がありるのを発見。4人で子供のように遊んだ。…みんな、お転婆!

 

 

戻ってみると庭のデッキではもうビール片手に笑い声…、小さな宴が始まっていた。

 

女子会プラス宿の旦那さんや近くのダイビング講師のご夫婦も交えて、限定のいも焼酎中心の飲み会となり、女将の手料理を満喫。

どこまでも和やかな時間が続いた…。

 

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 朝早く起きて、スケッチへ。

小さな貝がひしめき合うようにコンクリートの壁にへばり付き、蟹が傍にいたそばでドローイング。

 

台風が近づいているせいか小さな白波が立ち、淡いブルーの海も少し濁っているのがわかる。少し靄がかかった遠くの島を眺めた。

 

 

ここでの滞在は、一泊のみ。

 

でも、この島に来られるだけだでよかった。

ただ、ここに来たかった…。

 

 

何にも犯されていない空気。

自然の有り難みに感謝しながら、その懐で生活を営んでいる人々の素朴な暮らしがこの島には今も残っている。 そして、自然の神がしっかりとこの島を護っているのだと…。

 

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この旅は、行ったら分かる

と思っていた。

 

いつも旅は、そうだが…

 

やはりそう、行けばわかる。

 

しっかりと旅の日々が、記憶に肌に染み込んだ。

 

 

 

5年ぶりの一人旅。

なぜか島ばかり行ってしまう…。

 

一人旅は、自分の中、浸水することができる。  

それは、内観に近い行為。

旅は、絵の原動力でもある。

内面の活性化にも通じる。

 

  

そして、人との出会いの中、相互作用によって育まれる自分というものが、確実にあると教えてもらった。

 

 

 寅さんも言ってたかも…

"袖振り合うのも多少の縁、

旅は道連れ、世は情けってことよ"

 

 

 

 

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加計呂麻島