雨の湿度と煙草が混ざり合った匂い…
油絵の具の溶油と煙草が混ざり合った匂い…
そして、コーヒーと煙草の匂い…
匂いと記憶は、密接な関係があるように思う。
そして、コーヒーと煙草は、切っても切れない間柄。
紅茶党だった私がコーヒーに目覚めたのは、絵を習っていたアトリエでだった。
指導してくれた先生の淹れてくれるエスプレッソコーヒーを飲んでからというもの、完全なコーヒー党になってしまった。
私の身近な美術に関わる人は、喫煙者が多い。
モクモクらんど状態で美術館談義に華を咲かせ、朝方近くまで語り合う。
今もたまにそんなことがある。
煙草にはあまり偏見がなく、父親も兄も煙草のみだったせいもあり、免疫力はかなりある。
受動喫煙、バリバリな感じ。
昔から続く純喫茶には、今も喫煙オッケイの場所がある。
店内は、ほんのり薄暗い。
こっくりとあめ色に光る調度品。
壁に掛けられた絵画。
そして、ジャズがクラシックが流れていたりする。
そんな純喫茶に入り、なんとなくお隣の話を聞いていたら、
「じいじの煙草は、どんな匂いがするの?パパの煙草の匂いは、乾いた葡萄の匂いがするの!」
夏休みに帰省し、久しぶりにおじいさんにあったお孫さんの言葉。
"乾いた葡萄の匂い…"
私は、その言葉を聞いて、軽くうなってしまった。
なんて詩的な子!
その横で、その子の若いお父さんがゆっくりと味わうように煙草をくゆらせていた。
その光景が絵になっていた。
全世界が禁煙大運動している。
私は、ほとんど煙草を吸わないが、ここまでしなくても、と思う時がある。
駅の一番奥の方にやっとある喫煙スペース。
新幹線のホームの小さなガラス張りの箱の中に、ぎゅうぎゅう詰めになって煙草を吸っている人たちを見た時、とても気の毒に思えた。
百害あって、一利なしと確かに害があるものだけれど。
他にも害があるものはたくさんあるわけで・・・。
2017.7.31
煙草をくゆらす姿がよく似合っていたフランスを代表する女優ジャンヌ・モローが亡くなった。
モノクロームの画面にマイルス・ディヴィスのトランペットがフューチャーされた「死刑台のエレベーター」でも、四六時中、彼女は煙草を離さずにいた。
若い頃から、黒光りするようなしっとりとした大人の雰囲気と圧倒的な存在感。
フランス映画の女優の代名詞のような人だった…。R.I.P.
#コーヒー#シガレッツ
#コーヒー&シガレッツ
#煙草#匂い#アトリエ
#純喫茶#映画
#ジャンヌモロー