夜の海って、怖いよね…
昼間の青い透明な海
打ち寄せる白波
真っ青な空
何もかもが青く輝いて
朧げに境界線を別つ水平線
空を流れる雲を目で追いながら
自由や解放感を味わい、
ホッとできる場所なのに…
夜の帷が降りると、その情景は、一変する。
闇が覆いかぶさるように海を侵食して、淘汰してゆく
満潮になった潮水が黒光りしながら蠢いている。
去年の冬至の夜にもこの橋の上にいた。
遠く弁財天が祀られている神社がライトアップされる。その江ノ島へと架かる橋の真ん中で、足を止め、目を閉じてその波の音を聴いた。
暗く沈んだ闇の中で、足元から響く、
ゴォォォ、ゴォォォと押し寄せてくる波の音に足がすくみ身体が震えた。
けれど、この臨場感は、私の心を掴んで離さなかった。
怖いという気持ち・・・、
だけど、本当は大切な気持ちなんじゃないかって。
その中には、あるがまんまの音がする。
むき出しの自然音。
それを全身で浴びるように聴く時、
自分の体内にあるなにかと共鳴し合ってると感じながら。
とっても根源的な何か…。
ずっと太古の昔から響き続ける音。
深い深い共鳴…。
身体の微細な構造と水の構造は、どこか共通した音や形があると思うから。
ゾクゾクしながらも、どこかで通層低音みたいに流れている太古の響きがあるような気がする。
そして今日は、夏至。
また、一人、ここに来てしまった。
深い夜の海へ、
この橋へ。
そして、念願の竜宮城のような島泊。
沖縄に行った時みたいに海鳴りはしないけど、
弁財天のお膝下で眠りにつけるなんて夢のよう。
龍たちに見守られながら…、
伝説の島の静かな夜。
一人なんだけど、全然一人じゃない感じ