1ヶ月でなにができるだろう?
久々に行った美術館で手渡された1枚のフライヤー。2つ返事で引き受けてはみたものの…。
その公募展のテーマは”Cross”だった。
12年前にも等身大の十字架の形を作っていたことがあった。
生まれて初めての個展。
何もかもぶつけるようなそんな内容。
私にとって十字の形は、人体の象徴のように思えていた。
魂の乗り物としての身体。
そんな意味合いを込めていた。
けれど信仰を持つ人たちにとっては、十字架自体がとても意味の深いものだと思い、それ以来使用することはなかった。
12年という時間を経て、再び手渡されたテーマ。
一案目がぽしゃり、どうしようかと寝っころがっていた私の目の前に飛び込んできたのが、椅子の角に打ってあったプラスの平ネジだった。
これも十字だよなぁ…。
そこから始まった作業。
12年前と同じ等身大の十字のひな形をまた作った。
まあるいぴかぴかのつぶつぶが連なり、ひしめき合ってゆくさまをただ無心に作っていった。
けれど心はいつもそんなにきれいじゃないから、つねに迷いがあった。
そんな私の頭に浮かんできたフレーズがあった。
「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。
踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかるさ」
アントニオ猪木氏の名言「道」である。
打ち込んでゆく作業の気分は、まさにあの音楽。
”燃える闘魂”
自分を奮い立たせるしかなかった。
近所の建設現場でのトンカン、トンカンする音。
大工さんの電動ドリルの放つ濁音のノイズに感化されるように、自分も作業を始め、一本一本打ち込んでいった。
あまり電動ドリルを使ったことがなかったので、その重さに休み休みの作業だったけれど…。
ひんやりしたメタルのネジが電動ドリルの回転数の摩擦で熱くなる。
硬い木の節に錐が入っていかいない・・・。
最後の2,3日で、バキッ、バキッと耳触りの悪い音を立てて、木の端が割れに割れまくり、何度も冷や汗をかき、完成が危ぶまれた。
そして、配送当日まで、応急処置に追われていた。
十字の中に打ち込まれた平ネジは、10,000本を超え、ずっしりとした重さになっていた。
「なんじゃこりゃ」と叫びながら殉職する刑事を演じた松田優作。
「なんだこれは!」とつぶらな瞳を大きく見開いた岡本太郎。
私の中の”なんだこれは!”という現象を見たさにいつも製作していうるような気がする。
The 46th Internathional Cntenporary Art ”AU” Exhibition 2017
第46回現代芸術国際AU展
に参加します。
どうぞご高覧下さい✨
会期
2017年4月12日(水)〜 4月16日(日)
10:00―18:00
会場
兵庫県立美術館
ギャラリー棟3F
〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
パフォーマンス&セレモニー
4/16(日)13:00〜
Admission Free
AU HP
http://www.artunidentified.com/